シリコンナイツの長デニス・ダイアックが宮本武蔵、宮本茂、そしてメタルギアソリッドについて語る。
By Chris Kohler 7月26日, 2003年
訳注:元記事はこちら(gamespy.com)
西洋のストーリーテリングと日本のゲームデザインを合わせると何が起こるか? ある人はそれはエターナルダークネス、去年のシリコンナイツと任天堂のコラボレーションで、今でもゲームキューブにおける最良のシングルプレイヤー体験、と言うだろう。この独占インタビューで、シリコンナイツの社長デニス・ダイアックが日本文化、任天堂と働くことについて、そしてシリコンナイツの最新プロジェクトメタルギアソリッド:ツインスネークスについて語る。
GameSpy(以下GS)最初からはじめましょう。Gamespyの読者に任天堂のパートナーになるまでのシリコンナイツの要約した歴史を教えてください。
デニス(以下D):そうですね、自分の人生の物語をするけど、退屈するかな… 私は実のところナイアガラの滝から10分ほどのところにあるBrock大学で体育の学位をとりました。もともと大学代表レスラーになるためにそこに行ったんです。とても格闘技に熱中していて…実は一年間カナダのテコンドーチャンピオンだったこともあります。しかししばらくして、自分は体育教師になりたくないと悟りました。いつもビデオゲームを作りたいとは思っていたけど、そのときまで十分自信がありませんでした。だからコンピュータ科学にうつって、同じくトロント地域にあるGulph大学で修士をとりました。結局、大学に11年もいたことになりますね。
Brock大学で、友達とCyberneticsというゲームの制作をはじめました。Gulph大学の修士課程の途中でシリコンナイツを設立しました。最初のゲームはCyber Empiresという名前で、ヨーロッパではEAが、アメリカではSSIが発売しました。Atari ST, Amiga, IBM PCで1992年3月に出ました。発売の契約のあと、会社を作ったんです。それから、D&Dのライセンス作品としてFantasy Empires(1993年10月)を作って、次にPCのオンラインマルチプレイヤーゲームのDark Legions(1994年4月)をやりました。これら最初の3つのゲームは上手くいって、いい批評を得ました。これはインターネットより前の話で、マルチプレイヤーゲームはモデムでの直接接続だったときのことです。
そしてコンソール機に移りました。最初のコンソール機でのゲームはBlood Omen: Legacy of Kain(1996年11月)です。これがストーリーについて真面目に考えた本当のはじまりでした。それがビデオゲームエンターテイメントの未来だと考えていたんです。その後他のいくつものプロジェクトを決めて…その途中で任天堂に行き当たりました。
GS:それは実際どのように起こったのですか?
D:そのときは自分達を代表する代理機関がいて、彼らが任天堂の人を知っていました。それまで任天堂との接触は多くありませんでした。任天堂のゲームは遊んでいたけれど、正直なところ彼らがどんな感じなのかまったくわかっていませんでした。だからはじめは彼らがどんなであるかわからなかったのだけど、話し出したらこんなでした、「彼らは我々と同じみたいだ!」 シリコンナイツがゲーム制作をはじめたとき、発売されているもので価値があると感じるゲームはとても少なかったのです。私達はゲーム業界の光る鎧の騎士になりたい、いつも人々にシリコンナイツと品質を関連付けて欲しいと思っていました。
そして任天堂と話していたら、ほら、これが彼らの呪文なんです:品質、品質、品質。
業界で多くの人と働いて、彼らはみな収益や締め切りやそんなことについてばかりでした。任天堂はすべて品質についてなんです。任天堂と長く働けば働くほど、まったく同じ考えを持っていることに気づかされました。他のパブリッシャーだとあるゲームにもっと仕事をしたいと説得しようとしても、彼らは「いやいや、だめ、出荷する」と言います。任天堂だと、私達が「このゲームにより時間をかけたい」と言い、彼らは「そうですね、私達もあなたにもっと時間をかけてほしいとおもっています」と言います。
関係はとてもよくなったのである日お昼を食べながら、「もっとこの関係をよくできないだろうか?」と言いました。そうしたらどかーん、それは起こったんです! そして私達は振り返ることはなく、とても幸せです。
GS:あなたは日本のデザイナーのように考えていると思います。商品を出す前に磨き上げたいと思っていますね。
D:私の格闘技のバックグラウンドで、自分にとって自然と思えた哲学の多くは日本起源のものでした。私は宮本武蔵の大ファンです。五輪の書は格闘技においても、一般的なことにおいても私の人生にとても影響を与えています。日本文化から学ぶことは大いにあります…ゲーム制作だけでなく、全般的にです。はじめて日本に行った時、ああ、ただショックを受けました。飲食店に入ってチーズバーガーを注文して、そうしたら店員はとても礼儀正しかったんです! そして私はすぐ思いました、「いろいろ変えなければいけない!」
だから私は本当にメタルギアソリッド:ツインスネークスを楽しみにしているのです。これは未来のための東洋と西洋が出会ったコラボレーションです。宮本さんも小島さんもビデオゲームの未来をとても考えています。私はこうしたことで任天堂を他の何よりも好きなのです。任天堂は人々のためになるゲームを作りたいと思っている。市場の外にいるなんてことはありません。ただ良いビデオゲームを作りたいと思っているのです。
私達は消費者に幸せになってほしいと思います。グループとして、家族として、消費者の為に働いています。そして今、任天堂と一緒で…もう他の誰かと一緒になることなんか考えられません。想像も付かず、素敵なんです。他の誰がこんなことができるとおもいます? 他の誰が小島 秀夫さんにただ電話して「これをやらないか?」なんて言えますか?
GS:コラボレーションというと、任天堂に出会う前からエターナルダークネスを作っていたのですか?
D:いいえ。これは最初から任天堂とのコラボレーションで、いつも彼らを想定していました。
GS:何年も前にN64のプロジェクトとして始まりましたね。実際いつ開発を始めたのですか?
D:そのことについて話すのはつらいですね。(笑) 開発期間について話すのは好きではないのですが、推測してもらうことは出来ます。そんなに長い開発サイクルを持ったことはないのですが、プラットホームを変更しなければなりませんでした。N64からGCへの変更は大いに重大で、そのときにはN64版はほとんど完成していました。だから、ええと、数年かかったのです。
もしE3で何回見せたのかを数えるならもっと簡単ですね…3年以上です。もうこんな長い時間をかかるゲームを開発したくはありませんね。ただそれは私達のコントロールできる範囲を超えていて、N64からGCに移す決断について考え直すことはありませんでした。
GS:エターナルダークネスのどの部分が日本的ですか? 任天堂や宮本さんから来たものは何ですか?
D:ゲームプレイはいたるところ任天堂です。開発サイクルの中で沢山のことを学びました。ゲームを20年も作ってきた任天堂の人と仕事をする機会を得たのは驚嘆すべきことです。
特に、ゲームプレイと色に関連を持たせるのは彼らのアイデアでした。私達はそれを発展させゲームプレイの要素をストーリーとまとめあげました。同様に、ボス戦は、私にとってですが、とても任天堂風と感じました。
GS:ゲームに追加したかったのに任天堂に止められたものはありますか?
D:ありません、また誤解してますね。(微笑) 変えたくないとおもっているものはあります。すべてを趣き深いようにするのは好きです。もちろん、とても美しいグラフィックのシーンはありますが…それはすべて歴史上のものです。そして歴史事実は考えるととてもぞっとするものです。それらをストーリーに組み込むのはとても楽しいことです。歴史自体が独創的ならそれほどクリエイティブになる必要もないのですから。異端審問みたいなことをするのは、とても楽しいです!実際に起こった全てを見せないようにしたいでしょうから、抑えなければいけませんね。
GS:宮本さんと仕事をするのはどのような感じですか?
D:宮本さんと仕事をするのはアリストテレスと仕事をするようなものです…偉大な達人と共に仕事をするようなものです。私はプレスカンファレンスでこう言ったことがあります。「ゲームプレイは彼の海で、そこを彼は誰とも違う風に航海していくのです」彼は才能、洞察力、ビジョン、そして私が今まで会った誰とも違ったゲームプレイの概念的な理解をもっています。
彼は座って、ゲームを長い間遊び、実際に自分で遊ぶまでコメントを出すことを拒否します。そして、ついにコメントを出すと、彼はとても深いことを言って完全に彼が言ったことの意味を理解するのには文字通り数週間かかります。その後彼の元に戻って「これがあなたの真意ですか?」と聞くと、彼は「そうです、ようやくわかったね」と言います。
自分が燃えよカンフーのコオロギになったような気分になります。
GS:彼の深いコメントにはどんなものがありますか?
D:あるとき、彼はこう言いました「とてもよく見えて、そのことに関しては本当に嬉しい。けれど、もっとキャラクターが生き生きと思える何かができればもっと素晴らしいね」
そのことに関して数週間考え、そしてキャラクターの視線がものを追ったりさまよったりする、Reactive Animation System (RAS)というものを作りました。コントローラを操作してもしなくても、キャラクターは常に少し動き回っています。それはよりリアルに思えます。これは宮本さんが関わっていなかったらなかった大きなゲームプレイとプレイ感覚への追加事項です。
宮本さんがただ4ヶ月に1回コメントを出してくるという風には考えないでください。そんなものではありません、いつもコミュニケーションを取っています。ビデオ会議もありますし、私達の一団は頻繁に日本に行きます。彼らもトロントに来ます。現社長の岩田 聡さんは任天堂からシリコンナイツを訪問した最初の人でした。彼は社長として素敵な仕事をしているすばらしいすばらしい人です。
前社長の山内さんは議論を巻き起こすこともありましたが、天才的な決断能力を持っていました。彼が岩田さんを後継者に選んだとき、みな驚かされましたが、それはすばらしい選択でした。彼の積極的なアプローチ、例えばGBA-SPを見てください。プレスカンファレンスの彼の発言はそれをよく表しています。「何が起こったかわかっています、何が問題かもわかっています…私達は前進するのです」
そして他のグループは何をしていますか? マイクロソフトはパーティを取りやめました。ソニーは姿を見せないハンドベルトの話をしました。しかし、私達はゲームとパートナーシップに集中しています。岩田さんのプランはとても強力なものです。
GS:ソニーの話を出しましたね、そしてあなたはPS1とN64両方でオリジナルの高品質の作品を作った数少ない開発者の1人です。さあ、一気に議論を終わらせましょう、どちらのほうが強力ですか?
D:N64です、疑問の余地はありません。N64はより多くのポリゴンを出せて、実のところ、唯一の欠点は時間をかけたくない人にとってだけの問題であるカートリッジフォーマットです。もっとN64でやることができたでしょう。640x480の解像度はPS1ではできませんでした、不可能だったのです。そして当時とても多いポリゴンのキャラクターを出しながらフレームレートをフルに出していました。
GS:N64のエターナルダークネスはどのようなものでしたか? 何があって、何がなかったのですか?
D:N64と比べてGCの力を使って映画的にいろいろなことができるようになりました。カメラシステムにとても満足しています。N64の限界に挑戦していました。完成したときにはオーバーヒート寸前でした!
GS:N64からGCへの変換はどのようなものだったのですか?
D:変換はありませんでした。全てを一から作り直して、だからあれだけ時間がかかったのです。Too Humanからの要素は使いましたが、しかし実質的に完全な作り直しだったのです。
GS:任天堂はプロの声優をつかうことが少ないというのが私の理解です。例えばピーチ姫の声はNintendo Powerの編集者のレスリー・スワンです。プロの声優を使うと説得するのは難しかったですか?
D:いえ、まったく。私達がEDの為に書いた会話はとても難しいものでした。実のところ、ソリッドスネークの声優のDavid Hayterもこれは複雑なセリフだとコメントしていました!だからプロの俳優が必要という絶対的な同意があったのです。
多くの人は物事を劇的にしたいと思い、任天堂と働くとそこにはいつも内部抗争があるというように言います。それは違います。私達はゲームにとって最良のことをするのです。そしてこれが複雑な台本にプロの声優を使うというほど明らかではないとしたら、それはこんな疑問でしょうか、そう…どのようにこれをまとめましょうか? 将来的にはもっとプロの声優の仕事をみるでしょう、私達からのゲームだけではなくね。
GS:メタルギアソリッド:ツインスネークスについて話しましょう。GBAのコネクティビティについて詳しく話すことはできないのですよね?
D:GBAコネクティビティがこのツインスネークスと他のメタルギアシリーズから際立たせるキーの一つになるだろうということは言えます。これをつかうことによってゲームプレイは強化されプレイヤーはいままで出来なかったことが出来るようになるということを狙ってます。いいでしょう?
GS:いいですね!シリコンナイツはこのプロジェクトにどのように貢献していますか? 任天堂があなたのところに来て、「やあ、小島さんと仕事をしているんだけど、君は参加したいか…」
D:そうです、それは京都で起こりました。EDが終わったところで宮本さんと座ってこれからの話をしていました。彼はただこう言いました。「そうだね…メタルギアソリッドはどうかな?」
GS:わぁ、それはこのプロジェクトは実は長いということですね!
D:そうです、私達は秘密を守るのに慣れているので。とにかく、彼は小島さんとコラボレーションをしていて私達に参加してほしいと考えていると言いました。翌日小島さんは東京から新幹線でやってきました。ミーティングをしてやることになったのです!その日から仕事を始めて、プロジェクト、私達がGCでの独自な体験のために何が出来るか、小島さんのプロジェクトのビジョンをみて、そして何をシリコンナイツが提供できるか考えました。
GS:それは何ですか?
D:ゲームキューブでの技術的な経験を提示しました、バンプマップやシャインマップなどすべて技術的なものです。すべての声は取り直されました。私達はそれらをまとめています。コネクティビティ問題に取り組んでいます。全てがまとまって完成するのを確かめる最終の門番として働いています。
GS:それでは任天堂はどこに関わってますか?
D:全てのMGS2で出来ることを1に入れるという、それは大きな変更です。2ではロッカーに人をいれることができますが、1にはロッカーすらありません!手すりから人を投げ落とせます。1に比べて2のガードのAIは高く洗練されています。小島さんは個人的な友人である映画監督とすべてのムービーを作り直しています。
GS:まだオリジナルのMGSが鮮明に頭にある人が遊んだ時に何が新しく体験できるでしょうか?
D:ストーリーはオリジナルに忠実ですが、大きなゲームプレイの増強と武器の変化を期待してください。ボス戦も変えています。すべてがよくなるようにがんばっています。
もし30年代の映画業界を振り返ると、格好いい技術トリックなどを持った人が業界を支配していました。しかし、いったんカメラが標準化されると、真剣な内容について話していた人が表に出てきて、いまでも彼らが主流ですね…最良のストーリーを語れる人たちです。それが私達の業界が向かわなければならない方向です。私はグランドセフトオートは好きですが、それは未来ではありません。違うのです。小島さん、宮本さん、そして私はそう感じています。そして私達は未来に向けて努力しています。
GS:Jak and Daxterのデザイナー、ジェイソン・ルビンは今年のGDCで「Great Game Graphics: Who Cares?(素晴らしいグラフィックス、それが何だ?)」というスピーチをしました。彼はすぐにそれは問題ではなくなるといったのです。
D:私達は品質の飛びぬけた向上という言葉でグラフィックの違いを語れなくなる知覚の閾値に到達し、ゲーム内容に集中する人が台等する時が来るでしょう。これははじめからの任天堂の戦略です。これは長い目で見て業界での最良の生存戦略だと思います。私はまた業界の未来のため私達が成功するのは確かだと思います。
私達はビデオゲームについて考えますが、他のグループは、率直に言って、他の目標を持っています…部屋のセットトップボックスを目指したり、ステレオシステムやMP3プレイヤーになりたがっています。そんなものは私達の目標に入っていません。ここでいい戦いをしていると思います。正義の味方になるのはいいものです。だからコナミや他のサードパーティとのコラボレーションがはじまっていると考えます。人々はこれが真実と気づきだしています。ゲーム業界はとても厳しくなっていて、厳しくなれば誰がゲームのことを考えていて誰がそうでないか見えるようになるます。それが違いを作るのです!
GS:コナミとのコラボレーションはひらめきによるものなのか、それとも…ええと、山内さんはお金をばら撒かないことで有名でしたが…任天堂が今お金をばら撒いてるといっているわけではありませんよ。
D:私達はお金をばら撒きません。
GS:しかし、ああ、マイクロソフトは新しいゲームをXBOXに出して欲しい時に開発会社に沢山のお金を渡すでしょう。
D:そうです。
GS:同じことは任天堂には起こっていないのですか?
D:いいえ。まったく! 任天堂は関係を築くことに力を入れています。もちろん、お金はつねに重要ですが。
GS:会社がゲームキューブでのプロジェクトで損失を出さないという確信がほしいとしたらどうですか?
D:(訳注:XBOXの)開発プロジェクトを作ることでマイクロソフトから多額の資金を得られるでしょうけど、それだと売り上げはないから売り上げからの見返りはありません。だから今のマイクロソフトがいかに金を費やし続けるかということでは彼らは気にする必要はないのです、これらのお金は銀行から来ていて、ええと、これはそう長くは続かないでしょう。結局は金銭的な責任を取ることになります。
ここで偽の経済の流れが作られます。開発者達は将来的にはクリエイティブになるためには収益を上げる必要があることに気づかざるを得ないでしょう。これらの今業界で大問題になっていると私が考える「くそっぽい」ゲームを作るだけでなくね。
それからオンラインもあります。今皆オンライン競って膨大な金を失っています。それのどこに価値があるのでしょう? そして、もちろん、皆は私達に任天堂はこの市場で遅れを取るつもりか、と聞きますね…任天堂は他の誰もが考えるより前からこの市場にいたのです。
お金で動かされる人は餌に食いつくでしょう、しかし今年お金が流れているか聞いてみてください! そんなことはありません。膨大なお金を注ぎ込みつつ価値のないものしか作らないのはこの業界にとってよくありません。任天堂に関して好きなことの一つは…プロジェクトを進めるということは真剣に検査をされるということで、宮本さんが賛成するということはそれがいいものであるということです。これが利益でこの方向に行くことにとても満足しています。
次世代はとてもとても面白いことになります。この世代でソニーに起こったことの多くは人類史上一の成功かもしれない家庭向けDVDの成功に基づいています。次の時にはもうDVDはありません。戦いのレベルはより引き上げられました。私達は早くないにしてもハードウェアを同時に出します。今、未来の為に築き上げているコラボレーションとパートナーシップによって、次は違う戦いになるでしょう。
GS:ええと、確かにあなたがいうようにあなたと任天堂との関係は永久のようですね。
D:そうです。
GS:つまりシリコンナイツはもうどこへも行かないということですか?
D:ええ、絶対。いつまでも。そして率直に、私達を任天堂の一部とみなす以外の考えは大きな誤解です。なぜならそんなことは絶対起こらないからです。私達に電話する他のパブリッシャーもいました。そして私達は言うのです、「私達に電話をかけるのは任天堂に電話をかけることです。さて、何をお望みですか?」 そしてコナミについては私達が望んでいたものなのです!
パートナーシップはこれから長く続き、私が日本語を学ぶ長い時間を与えてくれます!今は3年間学んでいます。私の目標の一つは宮本さんと岩田さんとゲームデザイン哲学についてすべて日本語で会話することです。これはやりがいがあります…とても美しい言葉で、文化も愛しています。賞賛することはとても多く、それから学ぶことも大いにあります。私達のゲームデザイン哲学は宮本武蔵の五輪の書に基づいていて…それには任天堂に出会うずっと前から取り組んでいました!
GS:そのゲームデザイン哲学について詳しく話してもらえますか?
D:Engagement Theoryです。これは五輪の書に基づいています。「flow」と呼ばれるものに関する心理学の研究があります。(訳注:フロー体験について)「flow」は完全に陶酔していて時の感覚もなくなっているような状態です。これが没頭もしくは「flow」です。私達が思うにはストーリー、ゲームプレイ、グラフィック、アート、テクノロジーの要素を境界がなくなるまで一つに合わせて、これらは土、風、火、水、無といったような要素ですが、ただの総和より大きくなるようにするのです。
この完全な陶酔体験はゲームのストーリーからゲームプレイ、それからムービー、それから…継ぎ目なくゲームを体験できるようにします。もしはじめてフランスの大聖堂に入ったら、全体をまず見て、没入していき「flow」の状態に到達します。これがビデオゲームのポイントなのだと思います。そこにうまく到達するゲームもあります。そうならないゲームは的外れです。そして、宮本さんにはそれができるのです、他の誰とも違って。彼がすることは驚くべきものです。様々な意味においてぞっとします。
GS:あなたは素晴らしいグラフィックで人を魅惑して、それから気づく前に知的なストーリーに釘付けにするようですね。
D:シェイクスピアは前列の酔っ払いのために下世話な冗談を書きました、そして高級な言葉遊びをバルコニーの人に向けて書いたのです。これは出来る限り広い聴衆を引き付ける方法でした。グラフィックで、ゲームプレイで、そして没入から…これが私達がすることなのです。
訳注:フロー体験について
心理学者M. チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)が提唱した概念で「人が全人的に行為に没頭しているときに感じる包括的な感覚」と定義される。彼はスポーツや遊びの楽しさをこの「フロー体験」のモデルで説明した。